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馬券王の能書き

本命党・穴党・シロウ党


 よく「アイツは本命党だ。」「アイツは穴党だ。」という言葉を見聞きするが、俺には理解できない。甘党・辛党は理解できる。甘い物や辛い物を好んで食べて、いくらでも喰える奴の事を言うんだろ。でも本命党とか穴党とか、一体どういう事だ。

 競馬で本命というと、予想印の二重丸(◎)の事を指すか、上位人気になっている馬や組み合わせの事を指す。穴というと、下位人気になっている馬や組み合わせの事を指す。そこまでは理解できるが、本命党?穴党?甘党・辛党のように考えると、本命党は上位人気を好み上位人気の組み合わせばかり買う者で、穴党は下位人気を好み下位人気の組み合わせばかり買う者か。やっぱり理解に苦しむ。本当にそんな奴いるのか。

 先ず、競馬における人気について考える。各馬券種別の人気はどうやって決定されるか知ってるか?スポーツ新聞・競馬専門誌の予想印、騎手、厩舎、馬の血統や実績、全て1つの要因にはなっているかも知れないが、これらで人気は決定されない。人気を決定するのは、他でもない馬券購入者だ。お前等が張った金が人気を決定する。人気とは「にんき」と読むが、結局のところ「ひとけ」、人の気配。人気の意味、仕組みを間違って理解している奴が多い。各馬券種別、どの買い目に「ひとけ」が多いか、1番「ひとけ」が多い買い目は1番人気と呼ばれる。「人気=ひとけ」で多くの人が金を張った目が上位人気のごとく述べたが、厳密に言えば人気を決定するのは金で、多くの金が張られた目が上位人気。人数ではなく、あくまでも金額。仮に1という目に1000万人が100円ずつ張っても、2という目に1人が20億円張れば、1という目よりも2という目の方が上位人気になる。1という目には10億円張られていて、2という目には20億円張られているからだ。「ひとけ」では1という目は2という目の1000万倍だが、張られている金では1という目は2という目の2分の1。だから競馬などのオッズにおける人気は「にんき」ではなく「ひとけ」でもなく、「金気」と言った方が分かり易いかも知れない。

 JRA主催のG1レース、11Rではなく10Rに組まれるG1レース(以降、ヤグチカップ)当日に、当のヤグチカップではなく間違えて最終11Rを購入してしまう人間がいる。また、買いたいGⅠレース(以降、矢口記念)は日曜11Rなのに土曜に前日発売を買うつもりで、マークカードの前日発売という欄を塗り潰さずに、間違えて土曜の11Rを購入してしまう人間もいる。買うつもりのレースは10Rのヤグチカップや日曜11Rの矢口記念なのに、間違えて購入してしまう馬鹿な奴等。通常、10Rに組まれたヤグチカップの次の最終11Rや、日曜11Rに組まれた矢口記念の前日土曜の11Rは、それぞれG1レースより売り上げは低い。オッズの変動を見ても、前日発売のあるG1レースは数時間前から大した動きを見せないが、それらのニアミスレースは前のレースが終わってから、活き活きとした動きを見せる。間違えて購入されるとどういった現象が起こるか。当該G1レースと非常に似通ったオッズになる。つまり、10Rに組まれたヤグチカップや日曜11Rに組まれた矢口記念の3という目が1番人気の時に、日曜最終11Rや土曜11Rの3という目もまた一時1番人気になったりするのだ。この現象は、人気を決定するのは「ひとけ」ではなく「金気」であるという事を如実に表している。人がどの目に金を張りたいと思ったにせよ、間違えて購入してしまえば、即ちそれが人気になるのだ。とにかく人気を決めるのは金だ。

 本命党とは上位人気を好み上位人気の組み合わせばかり買う者で、穴党とは下位人気を好み下位人気の組み合わせばかり買う者という前提で話を進める。どちらも馬券購入の際人気に左右される。オッズを見てからじゃないと予想を展開させられない。上位人気を好むならどれが上位人気か、下位人気を好むならどれが下位人気か、それぞれオッズを見て確認してからじゃないと検討できない。オッズは何によって作られるか。馬券購入者、厳密に言えばそいつらの金だが。他の馬券購入者によって作り上げられた人気を見て、これが何番人気でこれが何番人気って確認して、それから予想・馬券購入するんだろ。それが言い過ぎだと思うなら言い方を変えよう、スポーツ新聞・競馬専門誌の予想印、騎手、厩舎、そのレース登録馬の血統・実績・適性・臨戦過程、前走の内容・結果や調教、こんなトコで大方の上位人気・下位人気を予想できるなら、その確実ではなくまやかしの予想オッズにおける上位人気・下位人気を、本命党・穴党は好んで予想を組み立て馬券購入してんだろ。

 本命党は上位人気を好む一方で下位人気を嫌い、穴党は下位人気を好む一方で上位人気を嫌う傾向があるんじゃないか。本命党は下位人気での決着、穴党は上位人気での決着をハナから獲れない予想の展開をしている。その趣向・こだわりから手かせ足かせ不自由で、自分の自由・可能性を奪っている。そんなマニアックな事して可能性を消して、マニアックな分だけ当たった時の喜びはひとしおなのか。気持ち悪ぃ連中だよまったく。

 本命党・穴党の話とは切り離せない、堅い決着・荒れた決着の話。「こんなレース、ガチガチで面白くねぇよ。」「どうせコレとコレで決まりだろ。」これらのセリフを吐くのは、多くの場合穴党。そしてガチガチ・コレとコレと自分で言った馬券を、穴党の連中は「そんなの買っても面白くねぇから。」と言って買わない。ガチガチ・コレとコレで決着した場合、「やっぱりコレだろ、面白くねぇ。」「2倍なんて当てて嬉しいのかよ。」と負け犬の遠吠え。ガチガチ・コレとコレで決着しなかった場合、「な、競馬なんだからそう簡単には決まらないんだよ。」「2倍なんて来る訳ねぇじゃねぇかよ。」と、自分の購入馬券の的中・不的中にかかわらず勝ち誇る。俺に言わせりゃ、お前等どっちやねん?!レース前は「ガチガチ」「コレとコレ」で決まるって言ってるくせに買わない、レース後は「やっぱり」「嬉しいのかよ」とか「そう簡単には決まらない」「来る訳ねぇ」ってさぁ、頭ん中見せてくれよ。言ってる事メチャクチャじゃねぇかよ。

 逆に本命党は、マスコミが「何年間このタイプの馬は来ていない」「この馬は調整がうまくいっていない」「大外枠不利」「馬体重大幅増」「単勝オッズ超割れている」と色々言っても頑ななまでに耳を塞ぐ。悪条件だろうとオッズが割れていようと何だろうと関係ない、ただただ盲目的に最終的な1番人気を買う。

 本命党は荒れた決着になると「八百長だろ。」と叫び、穴党は堅い決着になると「面白くねぇ。」「こんなの当てて恥ずかしくねぇのか。」と叫ぶ。特に穴党は、あたかも当たりが分かっていた、当たり馬券を購入できたかの如くな。的中させた奴は遠吠えしてる奴等の金をゲットしてる勝ち組なのにもかかわらず、肩身の狭い思いをするなんて意味不明だろ。本命党は何が起ころうとも冷静沈着に1番人気を購入、奴等は下位人気を買わないのではなく買えないんだよ。ハナから来ないと信じ込んでるから。穴党は何が起ころうとも下位人気を購入、奴等は上位人気を買わないのではなく買えないんだよ。ハナから来ないと信じ込んでるから。低配当は誰でも獲れる馬券なのか?高配当は獲りづらくて、低配当は獲りやすい?下らねぇ言い訳してねぇで、キッチリ的中させろ。ホント始末に負えねぇ連中だよ。

 人気とはその目にどれだけの金が張られているかを客観的に表した数字であり、それ以上でもそれ以下でもない。本命党は多くの金が張られている目が来ると信じている集団であり、穴党は金が少ししか張られていない目が来ると信じている集団である。それならば、本命党は他の馬券購入者は予想が上手いと信じ自分の予想に自信がない連中で、穴党は他の馬券購入者は予想が下手だと信じ自分の予想に自信がある連中であるという言い方が出来る。けどよハッキリ言ってそんな大袈裟なもんじゃねぇよ。本命党・穴党なんて、詰まるところ新興宗教にハマッてる連中と同じ。無意味な経典を頭からつま先まで信じ込んでんだよ。本命党・穴党などとジャンル分けされる連中はどいつもこいつも皆揃ってシロウ党(素人)であり、馬券王矢口は人気云々には左右されない予想を展開するクロウ党(玄人)である。