2004年の復活ニアミスから12年後の2016年、俺は40歳になっていた。この12年間、競馬予想矢口道場構想は常に頭の片隅にあった。実際、「競馬予想TV!」番組制作会社O氏と会談した際も、矢口道場というネーミングを口にしていた。ただ、以前の競馬予想虎の巻を超える代物を作ろうという情熱が何故か湧いてこなかった。湧いてこなかった理由はいくつかあるが、この12年間で急速にスマホが普及した事が一番の理由かも知れない。ネット情報発信なのだから、スマホの普及はむしろ歓迎のはずなのだが.....。
スマホやアプリの普及に伴い、様々なジャンルで情報発信する人間が激増した。2004年以前でさえ如何わしいネット掲示板の類で、見るに堪えないやり取りが横行していたのに、この12年で当時とは比較にならないほど誰でも彼でも発言し、何に対してでも顔の見えない連中の評価、発言が垂れ流される時代になってしまった。
例えばネットニュースの記事に対して、「コメントする」などというものが用意されていて、誰でも言いたい事、伝えたい事をネット上に残す事が出来る。このコメントに対し「検閲」機能があるのか無いのか知らないが、あるにしろ無いにしろこの「コメント」の必要性を俺は全く感じない。「検閲」が実施されている場合、誰かにとって都合のいいコメントしか公開されない訳で、昔からTVやラジオでやられてきた手法だ。昔であれば電話やFAX、今はメールやツイッターでコメントを集めているが、公開されるコメントは「検閲」をクリアしたものでしかない。逆に「検閲」無しでコメントを公開する事など出来るはずがない。何故なら顔を見せなくていい、名前も名乗らなくていい、性別も年齢も分からない、国籍も宗教も政治的偏りも分からない、学歴も犯罪歴も分からない、もしかしたら薬物中毒者かも知れない。そんな何の責任も負わない得たいの知れない人間のコメントなんぞ無制限に公開出来る訳が無い。何れにしろ、ネットに書き込まれているコメントは一文字も読む価値がない。
「口コミ」の類も同じなのだが、自作自演天国。俺に言わせればマスコミが実施するアンケートや、世論調査の結果についても同じ。客観的数字のように見せかけているが、明らかな意図、誘導を感じる事が多々ある。回答者に与えられた選択肢がもうすでに主催者側の術中にある場合が多い。結果発表にしてもしかりで、例えば「馬券王矢口を支持51%」という結果も、「約半数にも上る人が馬券王矢口を支持しませんでした」と「馬券王矢口を支持する人が過半数でした」では受け手の印象が違うはずだ。みんなテメェの都合のいいように物事作り上げてる。
こんな何つーか腐りきった、ヤラセだらけの環境に敢えてURL構えて、矢口道場だ、馬券王矢口だ、おりゃおりゃおりゃって、やったところで同じ穴の狢になっちまうんじゃねーかと、すんげぇネガティヴなモードに入っちゃったんだよね。
そんな中、競馬で何十億儲けてんのがバレちゃって国税から税金払えと追い込まれ、儲けたかも知れねぇけどその裏でスッてる分もあんだからそれをちゃんと考慮しろ、って最高裁を舞台に派手にやり合った会社員が登場。ソフトを使用して買い目を決定とか何とか、まさか過去に俺が販売した競馬予想虎の巻<JRA攻略 最強のデータベース>じゃねぇだろうなぁ。
「競馬予想ソフト」「何十億」「最高裁」このワードに少し反応してしまった。俺が過去に使用していた競馬予想支援ソフトは「競馬道シリーズ」だったのだが、さっそく競馬サイトの競馬道オンラインを見て最新のソフトをチェック。「競馬道2010」というのが最新のようですぐ購入した。この購入後に一悶着あった。まずインストールが上手くいかずサポートに問い合わせ、次は過去データの取り込みが上手くいかずサポートに問い合わせ。この過去データの取り込みがどうしても上手くいかず、サポートへの口調が自然と激しくなる。途中からやり取りの相手が下っ端からソフト開発責任者であるボスキャラに代わり、望み通りにしてやるからPC送って来いよと、何で俺がPC送らなきゃいけねんだそっちから来いよと、おうじゃあ行くよと、ラスボスとの対峙から退治へ。
当時俺が住んでいた港区のタワマンから徒歩数分のコーヒー店で待ち合わせ。現れたのは、とても激しい舌戦を繰り広げた相手とは思えない寡黙そうなY氏だった。この悶着は俺の方にも向こうにも落ち度があった事が分かり、痛み分けとなる。Y氏は自ら監修した競馬本や、会社で制作したゲームの紹介冊子などを持ってきてくれたのだが、俺のPCへのデータ取り込みが終わるまでの間、色んな話をした。その中で、「実は今、新しいソフト開発に着手しているところで、これからの時代はAIが必須になるからAIによる競馬予想支援ソフトを作ろうと思っている。矢口さんはウチのソフトのへヴィーユーザーだから、開発の段階で何か意見やアドバイスがあったら是非いただきたい。」という話があった。「神の領域」で紹介しているが、俺は過去にこのY氏の会社に対して、「企画会議等で競馬予想の天才である俺の意見を取り入れ、さらなる躍進を図った方がよい。」と言った。とうとう俺は自らが使用した競馬予想支援ソフトに影響を及ぼす位置にまで行った。
馬券王の能書き、全部読んだ奇特な人間なら分かると思うが、俺の行動力っつーか、有言実行力っつーのかな、やっぱ持ってる人間て違うんだよな。昔も今も俺みたいにHPやってる奴いるけど、どいつもこいつも独りよがりのザコばっか。俺は23歳の時から42歳の今に至るまで、そんな奴らとはケタが違う事やってるからさ。現時点で競馬道オンラインと矢口道場がコラボするかどうかは未定だが、競馬道ソフトを使用し続ける限り競馬道オンラインとは何かしらの形で関わっていく事になる。どうせ関わるのであれば、双方にとってプラスに働く事を願う。
因みにY氏の状況と、俺の状況がうまくかみ合わず、AIソフトの開発に意見一つする事が出来なかった。2017年中に競馬予想矢口道場をスタートさせる予定だったのも、2018年初頭まで延期になってしまった。2002年11月にHP閉鎖してから約15年後の2018年1月にHP再開、この間に起こった全ての事に意味があるのだろう。このたびJapanBet社を設立し、競馬予想矢口道場始動である。